依頼の前に考えておきたいガーデンデザインの最初の一歩
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造園業者に依頼すれば、細かく現場調査もしてくれますし、プランニングの相談にも乗ってくれます。ですが、やはり自分自身がどんな庭をつくりたいかのイメージをしっかり持っているほうが良い庭づくりができます。理想の庭を自由に思い描いてみましょう。ただし、いろいろな条件からまったく不可能なプラン、選ぶべきでないプランもありえます。新しい庭のプランニングの前には、以下のようなポイントをチェックしておいて下さい。

ガーデンデザインをはじめる前のチェックポイント
(1)立地をチェック(2)自然環境をチェック(3)生活スタイルをチェック
(1)立地をチェック

庭の大きさや建物の形は決まっていますから(新築や、家屋ごとのリフォームは別ですが)、ガーデンデザインはその範囲で行うことになります。業者に依頼すれば、プランニングの前に測量してくれますが、自分でイメージを考えるうえでも、図面などがあれば考えやすいでしょう。家を建てたときの図面の中で「配置図(土地に対する建物の配置平面図)」というものがあれば最適です。

図面がなければマス目のある方眼紙などに、家屋や置いているものの寸法を測って書き込んでいくとわかりやすいでしょう。今ある庭木などを書き込んでいくことで、「現況図」が出来上がります。「現況図」は新しい庭のデザインを考えていく出発点となるものです。紙のうえであれこれ考えるのも楽しいものですし、パソコンソフトを利用してもいいと思います。思っていたようなデザインが立地条件で無理ではないかどうかは、このプロセスで確認できます。

(2)自然環境をチェック

庭にとって特に重要なのが日照条件。建物の影になってまったく日が当たらない場所と、つねに日向になっている場所では、植える植物も変えなくてはなりません。日照条件は季節や時間帯によって変わることも注意。いちど、休みの日を一日使って朝から夕方までの庭の変化を眺めてみると良いでしょう。

そのほか、土壌がどんな状態なのか、風通しはどうかといったところも庭づくりを考えるうえでは必要です。気候の特徴は地元の業者なら把握しているでしょうが、土の状態は調べてみないとわからないものです。知識がないと正確な判断は難しいのですが、庭の一部を少し掘ってみて、すぐにコンクリートの地面にぶつかったりしないかなどは調べておいても良いでしょう。

(3)生活スタイルをチェック

どんなに美しい庭であっても、住む人にとって不便では本末転倒です。たとえば庭に洗濯物を干す必要があればそのためのスペースも確保しておかないといけません。カースペースや勝手口などへの移動経路になっているなら、動線を植栽などでふさがない配慮も必要。また、家族構成によって、小さいお子さんがいれば、池などをつくるのは考えものかもしれませんし、お年寄りがいれば庭もバリアフリーであってほしいでしょう。

そして生活スタイルや家族構成は変化していくことも見越しておきたいものです。子どものための遊び場をつくっても成長すれば使わなくなるかもしれないので、そのときはどうするかなど、長期的な視点で考えて計画をしておいたほうが良いと思います。

どんな庭がほしいのか、イメージしてみよう

以上のようなポイントをチェックしつつ、どんな庭が理想なのか、イメージを広げてみて下さい。本や雑誌、インターネットでいろいろな庭について調べてみたり、ガーデンショーなどのイベントに出かけてみるのもいい方法です。

考え方としては、まず、庭でどんなことをしたいのか、暮らしの中で庭をどういったものとして位置づけるのかをイメージしてみましょう。具体的には、


・眺めていると四季を感じられ、ほっとくつろげる庭
・子どもたちやペットの遊び場にできる庭
・週末に仲間を集めてバーベキューを楽しめる庭
・野菜やハーブを育てるなど、土いじりが楽しめる庭
・いつも花が咲き、家のそばを訪れる人の目も楽しませられる庭

などなど……。一口に庭と言っても、さまざまな役割を持たせることができます。

また、庭はスタイルで分類することもできます。いわゆるイングリッシュガーデンと日本庭園では、植える植物はまったく異なってきます。異なるスタイルを混ぜることは、へたにやるとちぐはぐなものになってしまいますが、プロのガーデンデザイナーがうまくやれば、たとえば、洋風庭園を基調に、一部には和のテイストを取り入れるといったことも可能です。

庭をデザインし、つくっていくのは造園業者でも、庭はオーナーのものです。まずは「自分の庭をこうしたい」という気持ちをはっきりさせることが、庭づくりのスタートになります。

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